このページは僕が作った「ハル」という曲に使ったプラグインなど、ミックスの詳細を書いていこうと思います。同じ系統の曲を作ろうとしている方にとっては多少は役に立つんじゃないかと思ったので、書いてみます。
DawはLogic Pro Xを使用しています。
もし検索から直接このページに来られた方がいましたら、下のボタンより曲を聴いて頂いた後に気になった箇所だけでも見てみてください。
このミックス情報を載せる経緯は以下の記事で書きましたので、併せて読んで頂けると嬉しいです。
それでは、いきましょう。
※ めちゃくちゃボリュームがあるので目次から気になるところにジャンプしてください
トラック数
まずこの曲を構成するトラック数から。
下の画像を見てもらうと分かる通り、26トラックを使用しています。
具体的には、こんな感じです。トラック名は全部適当に自分で付けた名称です。後で役割を書きます。
<トラック詳細>
パート | トラック数 |
ベース | 1 |
ドラム | 12 |
キーボード(ピアノ) | 1 |
ギター | 5 |
ボーカル | 4 |
コーラス | 2 |
各パート毎に詳しく掘り下げていきます。
とりあえず「トラック」、「プラグイン」、「フェーダ-バランス」、「PAN」の全体像を載せておきます。
ベース
ベースは全て打ち込みで、トラックは1つです。
使用音源
使用ソフトは「Trilian」です。音がめちゃくちゃいいので、結構リアルに聴こえます。
Trilianの中の「Hardcore Finger」という音色を選び、Trilian側での音作りはブリブリした音にしたかったので、TREBLEとMIDを少し上げて、後は適当です。
正直、下の記事でも書きましたが、ベースで頻繁に使う技術の「スライド」の自由度が低いところが最近結構嫌だなと思ってきたところです。
使用プラグイン(ベース)
- Waves Q10
- Waves VEQ4
- Waves C1
- Waves RCompressor
Q10
ベースのイコライジングはこんな感じです。意識した点としては、よくキックと音が被りやすいと言われていたので、キックでブーストした部分はカットして、キックでカット下部分はブーストしてます。
VEQ4
イコライザーはもう一つ「VEQ4」を入れましたが、これはほぼパラメータは弄っておらず、通しただけです。WavesのVシリーズは通すだけでもアナログ感が少しだけ増す気がします。
C1とRcomp
コンプレッサーは2つ使いました。理由は他の音に埋もれないぐらいの音圧が欲しかったからです。
「C1」と「RComp」を使った理由は、2つとも元の音をあまり変化させずに素直に音圧を上げてくれると評判だったからです。
ただ、結局C1でかなり潰しているので、音は結構変わってしまいました。笑
ドラム
次はドラムです。ドラム自体が14トラックもあるため、これは別のページに飛んでもらいます。下のボタンよりお願いします。
キーボード(ピアノ)
キーボードも全て打ち込みで、トラック数は1です。
ピアノが弾けないので、マウスでポチポチ打ち込んでいます。
使用音源
使用ソフトはIK Multimediaの「Sampletank 3」です。音はまぁまぁだと思っています。音源の比較はこちらの記事で行っております。
音色は「Grand Piano1」を使い、下のような設定にしました。
使用プラグイン(ピアノ)
ピアノにはプラグインを4つ使用しています。
- Waves Q10
- Waves C1
- Waves H-Delay
- Waves TuneVerb(Auxトラックで使用)
Q10
ピアノは音の帯域幅が広いので、あまり下手にイコライジングしない方が良いという情報もあったのですが、あまりにも抜けが悪かったので、10KHz周辺をブーストしています。
C1
他の音に埋もれていたので、かなりメイクアップしています。
H-Delay
H-Delayはオートメーションで部分的にONしています。
Logicでのオートメーションのやり方はこちらに詳しく書きましたので、分からない方は見てみてください。
TuneVerb
リバーブはTuneVerbのAuxトラックを作り、そこに適当に送っています。
直接リバーブを挿すと、音が引っ込んでしまう気がしたので。
ギター
ギターはトラックを5つ使っています。内訳はこんな感じです。
- コードR
- コードL
- リード
- イントロ/ソロ
- イントロ/ソロ(ハモり)
使用音源(機材)
この曲はパンク調にしたかったので、レスポールギター(エピフォンカスタム)で弾きました。
使用ソフトは5トラック全てIK Multimediaの「Amplitube 4」です。
使用プラグイン(コードギター)
コードのPANは左右に全振りで2トラックで重ねています。こうすることでステレオ感が出て良い音に聴こえるように思います。
コードに関しては、下の記事でも詳しく書いていますのでご参照ください。
- IK Multimedia Amplitube 4
- Waves VEQ4
- Waves C1
- Waves One knob driver(Auxトラックで使用)
Amplitube 4
「Red pig」というアンプを以下のような設定にしています。
VEQ4
イコライザーはとにかくバンドサウンドはアナログ感が重要だと思い、VEQ4を選択しました。
Lowをカットして、400Hz、1.5KHzをブーストしています。
C1
音を極力変化させずに音圧を上げるためにC1を使用しました。
One knob driver
ギターの音にもう少しディストーションが欲しかったので、One knob driver をAuxトラックに入れ、ギターのRとLから送っています。
使用プラグイン(リードギター)
リードギターはあまり目立たないんですが、Bメロでは多少主張するようにしています。
- IK Multimedia Amplitube 4
- Waves Q10
- Waves C1
- Waves One knob driver(Auxトラックで使用)
Amplitube 4
アンプは「Brit Silver」というやつを使って以下の設定にしてます。
Q10
イコライジングはこんな感じです。とりあえずLowをカットして、中低音域をブーストしてます。
C1
ほとんどのトラックでC1を使っていますね。笑
以下でもC1は出てきますが、ほとんどこのような設定なので、割愛させて頂きます。
「どのような音色にどのようなコンプが合うか」というのはまだあまり分かっておらず、試行錯誤中です。
One knob driver
上のコードギターと同じAuxトラックに送っています。
使用プラグイン(ギターイントロ/ソロ)
- IK Multimedia Amplitube 4
- Logic Delay Designer
- Waves C1
- Waves Q10
- Waves TuneVerb(Auxトラック)
- Waves One knob driver(Auxトラック)
Amplitube 4
アンプは「Brit 9000」というやつを以下の設定で使いました。恐らく定番アンプの「マーシャル」をモデリングしたやつですね。
Delay Designer
イントロの最後の部分のディレイはLogicの「Delay Designer」を使っています。
理由は視覚的に分かりやすいインターフェースだったからです。
Q10
この曲を作った頃は「プラグインの順番」というのを一切気にしておらず、イコライザーを一番先頭に持ってきたり、最後に持ってきたり、統一感がありません。笑
ただ、調べてみると意見が分かれているようで、イコライザーは「コンプの後派」と「コンプの前派」と「コンプの前と後両方派」がいるようですね。笑
これに関しては、いずれ検証してみたいと思っています。
話は逸れたが、イコライザーはこんな感じです。耳が少し痛く感じたので、ハイをがっつりカットしました。
TuneVerbとOne knob driver
Auxトラックを使って、少しだけリバーブとディストーションを入れています。
設定は上記と同じです。
ボーカル
ボーカルトラックは4つで、詳細は以下の通りです。
- メインボーカル
- サブボーカル
- ハモリ
- サビ用のサブ
使用機材
ボーカルの録音に使用したマイクはRODE社の「NT1-A」です。音は普通に良いと思います。
使用プラグイン(メインボーカル)
- Waves RVox
- Waves RDeEsser
- Waves Q10
- Logic Channel EQ
RVox
RVoxはボーカルに適したコンプレッサーらしく、一つのパラメータ(真ん中の「Comp」)をいじるだけで簡単に綺麗に音圧を上げてくれます。
RDeEsser
ディエッサーで歯擦音を抑えることができるので、適当に使っています。
Q10
ボーカルのイコライジングってすごく難しいと思っていて、少しだけカットしたりブーストしたりするだけでも、音質がガラッと変わるので、試行錯誤の末こうなりました。
Channel EQ
Logicのイコライザーです。オートメーションで、ギターソロ後の声だけに掛けています。
Channnel EQを使用した理由としては、Q10よりもLogicのイコライザーはがっつりかかるので、音質をガラっと変えるにはこっちの方がいいかなと思ったからです。
使用プラグイン(サブボーカル)
サブボーカルと書いたが「ダブルトラック用」と言った方が分かりやすいかもしれない。メインと全く同じオーディオファイルを使い、メインに重ねることで声質を変えたり太くするためのトラックです。
- Waves Q10
- Waves Doubler4
- Waves RVox
- Logic Channel EQ
- Waves TuneVerb
Q10
イコライザーはこんな感じです。メインよりもハイ成分を強くしてます。
Doubler
ダブラーに関してはこちらの記事でも書いています。
メインを削除して、サブの成分だけを残しています。ダブラー4を選んだが、結局2つしか使っていません。
使用プラグイン(ハモリ)
ハモリの使用プラグインはメインボーカルとほぼ同じで、フェーダーを少し下げているだけです。
使用プラグイン(サビ用のサブ)
こちらもメインと使用プラグインはほぼ同じです。このトラックはサビにもっとインパクトを出したいと思い追加しました。
メインボーカルからサビの部分だけ抜き取って、新たにトラックとして追加しています。
ただ、メインと全く同じでは音が太くならないのでピッチ補正を使って全体のピッチをほんの少しだけ下げています。
Logicのピッチ補正のやり方はこちらで書いています。
コーラス
コーラスは2つのトラックで、PANを左右に「+20、-20」に振っています。
コーラスはもちろんメインよりも目立ってはいけないけど、存在感も出さないといけないので、難しいです。
使用プラグイン(コーラス)
- Waves Q10
- Waves RVox
- Waves C1
- Waves H-EQ(Auxトラック)
- Waves Vitamin(Auxトラック)
2トラックとも同じものを使っています。
Q10
イコライザーは1K辺りを少しカットして、8K辺りをブーストしました。
RVox
ボーカルよりも抑え目で設定してます。
H-EQとVitamin(Auxトラック)
H-EQはこんな感じでよりハイ成分を際立たせたいと思い、使いました。
Vitaminも同じ理由です。
マスター
マスターは全体の音圧を上げたり曲の印象を調整したりしています。
使用プラグイン(マスタートラック)
- Waves Center
- Waves GW Mix Centric
- Waves L3
Center
Centerに関してはこちらの記事でも書いています。
音圧を上げるために以下の様な設定で使用しています。
GW Mix Centric
Greg Wells Mix Centricに関してはこちらで音源の比較を行っております。
以下の様な設定にしてます。Greg Wells Mix Centricを使うと、曲の印象が明るくなります。
L3
L3に関してはこちらでリミッターの比較をしています。
Thresholdを音質が変化しないギリギリまで下げて、念のため-1.0dBをリミットに設定しました。
まとめ
以上、「ハル」という曲のミックスの詳細でした。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。くどいようですが、あくまでも’参考’程度にお考え頂ければと思います。
正直、書いたは良いものの、「ここまで詳細に書く必要はあるのか?」とか「そもそも素人のミックスは需要あるのか?」など、僕自身も結構探り探りやっている状況ですので、「もっとこういう情報が欲しい」とか「これは別に要らない」等ありましたら、ご意見を頂けると非常に助かります。
今後作った曲でもとりあえず続けてみようとは思っていますので、また機会がありましたら見てみてください。